2023.12.09
昨今の、物価上昇による値上げラッシュに疲弊しております。
長年木綿屋をやっておりましたゆえ、短期の値段の上がり下がりで驚くことはあまりないようにしておりましたが
ちょっとひどすぎると思い、色々考えてみました。
弊社が製造しているのは、昔ながらの木綿です。経糸緯糸とも弱撚糸のこだわり今ではそれができるのが少なくなってきたと
感じています。(手織りでさえ経糸に強撚糸を用いるのが普通になってきました)
また、織機も明治三十八年式織機を使用して昔の風合いを大事にしています。
こだわりの、最大の理由は風合い手触り、着心地、使用感だと思います。
先祖から言われてきたことを、寡黙に守ってきた故世の中がどんどん変化して進んでいても下を向いて
仕事をしてきました。今までいろんな困難に会いました。近くにあった染屋さん綛繰り屋さんの廃業。
織物協同組合の解散、繊維試験場の解散、日本橋の木綿問屋の数々の廃業、取り込み詐欺に引っかかる。
特に販売先の廃業、夜逃げが厳しかったです。
その様な中、じっと下を見てやってきました。
幸にも、京都の着物関係の問屋さん、SOU SOU さんをはじめとするデザイン会社、先代からのお付き合いのある
会社さんからこれをやってもないか、あれをやってみないかとご指導を受け、採算は合わないことが多いですが
何とかやってきました。
しかしここ最近の、気候変動に始まる社会の大きな変化、日本人として育ててきた文化が大きく変わってきたことを
実感します。単に年を取って社会の変化についていけなくなっただけかもしれません。
そういうもろもろの変化に、伝統的な木綿も変わってゆく、若しくは進化していかねば
残らないと思い、実験を重ね提案してゆきます。
画像は、最近のポシェットです。伊勢福の神路屋さんで販売していただきます。
考え方は、同じ柄の組み合わせは作らない。持っていて楽しい。使い易いなど
常にご指導をいただき切磋琢磨して店頭にあった時に手に取っていただければと努力しております。
店主敬白